放射線と医療
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重粒子線治療エックス線一般撮影乳房撮影血管撮影エックス線CTエックス線治療ガンマナイフ治療陽子線治療中性子線治療放射性同位シンチグラフィ元素治療診断SPECT診断PET診断インビトロ検査放射線照射利用 ● 優れた集中性(狙ったところだけに大きな効果) ● 1回照射での治療も可能▲ 大規模な装置が必要▲ 必要により患者さんを傾斜 放射線医学総合研究所で使用されている多葉コリメータの例複数の板で任意の形状の穴を作り照射部分を設定します。● 頭頸部がん● 前立腺がん● 肝臓がん● 骨、軟部肉腫  ● 卵巣がん● リンパ腫などなど重粒子線の特徴コリメータとは? コリメータは、照準を正しく合わせる装置を表し、ここでは重粒子が通る金属製の中央の隙間をがんの形に合わせて、がん部分のみを照射できるようにする装置です。 近年、ヘリウム以上の重い原子(炭素、窒素、酸素、ネオンなど)をイオン化して大型の加速器で加速し、高エネルギーの重粒子線を作ってがんを治療することが行われるようになりました。重粒子線の特徴は、人体に与える効果にあります。 左ページ中央図に各種の放射線が人体に与える効果の様子を示しましたが、エックス線やガンマ線、中性子線などは体の極表面で最も大きな効果を与えるので、体の表面付近のがんには有効ですが、体の奥深いところにあるがんの治療には不向きです。しかし、高エネルギーの陽子線(水素)や重粒子線(現在、炭素が使われています)は、体の表面付近では、効果がほとんど無く、体の奥深い局所的な部分で非常に大きな効果を与えます。その結果、その奥深いところにあるがんを死滅させることができます。また、重粒子線として用いるイオンの質量とイオンを加速するエネルギーを変えることにより、この非常に大きな効果を与える深さを変えられます。 右下図に示すようなコリメータを利用して、重粒子線の照射範囲が、がん部分のみになるように設定することができます。この重粒子線による治療は、脳や内臓にできたがんの治療に活躍しています。また、新しい施設も少しずつ増えてきていて、これからのがん治療の中で大きな役割を果たすと考えられます。重粒子線治療の対象● 非小細胞肺がん● 子宮がん● 脳腫瘍● すい臓がん● 食道がん重粒子線治療の対象外● 胃がん● 乳がん重粒子線治療

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