放射線と医療
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放射線とは? 放射線は120年ほど前の1895年にレントゲンによって発見され、何かよく分からないため、数学で未知数を表すXを用いてエックス線(X線)としましたが、エックス線は光の仲間です。翌年以後には放射線を発する物質(放射性同位元素、一般にRIと呼ばれる物質)がベクレルやキュリー夫妻によって発見されました。 医療で使われる放射線には、放射性同位元素(RI)もしくは加速器(エックス線装置など)から放出されるものがありますが、RIからの放射線は常に出続け、加速器からの放射線はスイッチを切ればとまります。  この写真を見てなんだと思いますか?これは工場でよく使われている物作りのロボットではありません。これは放射線(エックス線)によるがん治療装置の一種です。詳しい事柄については後で述べますが、「放射線」と「医療」には密接な結びつきがあります。実際、ほとんど全ての日本人は小学校時代から胸部エックス線写真撮影を経験したり、虫歯で歯のエックス線写真を撮ったり、骨折で骨のエックス線写真を撮った経験がある人も多いと思います。このように「放射線」と「医療」は切り離すことができない関係にあります。 放射線は生物学、物理学、化学、医学、薬学、工学さらには考古学などの広い分野で利用されています。特に現代医学における放射線利用は先進医療に密接に関係していて、医療行為に必要不可欠になっています。ここでは、その特長を生かして医療の分野で放射線がどのように使われているかをみてみます。なお、いろいろな検査や治療で放射線を多少なりともあびますが、その影響については、機器の性能や技術の向上により、また時代とともに大きく改善されています。そして、被ばくによる影響よりも診断や治療などによる大きな利益のために放射線が使われてきています。定位放射線治療装置(サイバーナイフ)使用目的については5ページを参照してください。写真提供: 日本アキュレイ(株)放射線と医療

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