生活に役立つ放射線
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私たちの暮らしと密接な放射線。ご存知でしたか?「放射線なんて、わが家には関係のない別の世界のこと」そう思っていませんか?でも実際には、放射線と無関係な生活をしているひとなど考えられないのです。あなたの家の中にも、放射線を利用して作られたものがたくさんあります。この冊子で生活に役立っている放射線の世界をご紹介しましょう。Q.放射線ってなに? 放射線にはものに当たると電子をはじき出したり(電離作用)、ものを透過する(透過作用)などの性質があります。これらの性質を上手に使えば、ひとの体やものの中を調べる、化学反応を起こさせる、滅菌する、がんの治療をするなど、とても役立つものなのです。放射線には、光の仲間(X線、ガンマ線など)と電子、ヘリウム原子核、中性子の流れ〔それぞれベータ線(電子線)、アルファ線、中性子線など〕があります。放射線の種類によって、電離作用や、透過作用の強さが異なります。Q.放射線と放射能は違うの? 放射能とは放射線を出す能力のことです。 これを身近なもので例えると、放射線は懐中電灯から出てくる光にあたり、放射能は懐中電灯がもっている光を出す能力であるということができます。 なお、放射能を持った元素を放射性同位元素(ラジオアイソトープ)といい、これを一定以上含む物質が放射性物質と呼ばれています。放射性物質からは、上に述べたような放射線が出ており、含まれるラジオアイソトープの量が多いほど放射線は強くなります。Q.放射線は怖いもの? 身近なガスや電気を想像してください。火をつけずにガス栓を開けっ放しにすると危険ですが、正しく使えば安全です。また、電気器具の通電された露出部分に触ると感電しますが、乾電池に触れても感電しません。要は使い方と分量の程度なのです。 放射線も同じで、正しく使えば安全ですし微量の放射線なら受けても人体に影響ありません。むしろ近年では微量の放射線は健康に良いとも言われています。Q.放射線の単位は? 放射能の単位はベクレルといいます。これに対してひとがどれくらい放射線を受けたかを表す単位をシーベルトといいます。 私たち人間は、宇宙、大地、大気などから平均して年間2.4ミリシーベルト程度の放射線を受けています。

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