生活に役立つ放射線
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 注射器などの医療器具は、消毒した衛生的なものを使わなければなりません。従来からのガスによる滅菌以外に放射線照射によっても行なわれています。 放射線なら熱に弱い器具なども滅菌(消毒)でき、包装してからの滅菌が可能であるため、滅菌後に再び細菌がつくおそれもありません。※Graft-Versus-Host-Disease 移植片対宿主病。年間10名程の発症例が   あったが現在ではほとんど見られない。※PET:Positron Emission Tomographyの略  称です。PET画像にCT画像を重ねた上半身の写真を示しています。矢印で示す箇所にがんの病巣が見られます。 体内で徐々に溶けて効果を現す徐放性医薬品と呼ばれている薬があります。 これは、薬の周りを体内で徐々に溶ける材料で覆ったものですが、放射線を使うとこの材料の温度を上げなくても固められるので、薬の組成を変質させずに製造することができます。写真提供:日本原子力研究開発機構写真提供:日本赤十字社写真提供:日鋼記念病院写真提供:GEヘルスケア・ジャパン(株)PET検査:がんなどの検査・診断に強い味方が登場 陽電子(ポジトロン)という放射線を出すRIで標識した薬品を患者さんの体内に入れると、RIはがんなどの異常があるところに集まります。そこで放射された陽電子は近くの電子と結合して、2本の正反対方向を向いた消滅放射線と呼ばれる放射線に変ります。これを両側でキャッチすれば、体内のどこにRIがあるか、つまり、どこにがんがあるかがわかります。 こうした原理を応用した装置が「PET」※と呼ばれるもので、がん発見のほか最近はてんかん、脳■塞などの診断にも使われています。輸血用血液への放射線照射 輸血を受けた人がごくまれにかかるGVHD※と呼ばれる病気があります。 有効な治療法が無く発病者のほとんどが亡くなる恐ろしい病気です。しかし輸血用血液に放射線を照射してGVHDの発症を予防することができます。これが唯一の予防方法です。なっています。 す。放射線滅菌その他

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