放射線はさまざまな分野の計測作業に役立っています。放射線検出器放射線源薄い場合放射線は多く通る放射線検出器放射線源厚い場合放射線は少ししか通らない手荷物のエックス線透過写真写真提供:ポニー工業(株) 溶鉱炉から出た高温の鉄の塊は、圧延機を通って板に延ばされます。「鉄は熱いうちに・・・」のことわざにあるように、鉄の厚さをすばやく、正確に測らないと圧延作業は成り立ちません。放射線を使えば、このような高温の場所でも正確に測定できます。 紙の厚さを表す単位には単位面積当りの質量(質量厚さg/m2)が使われます。これは、1メートル四方の紙が何gかということを表しているものです。紙の製造現場では、紙を切り取ることなく、非接触で連続的に厚さを測定することが要求されていますが、放射線を使うことで速くて正確な測定ができます。 放射線は物質の中を透過する時にその数がだんだん少なくなりながら進みます。厚みがあるほど放射線が少ししか通らないというのが放射線による厚さ測定の原理です。 物質を透過する能力は放射線の種類によって異なります。鉄の場合はX線またはガンマ線、紙の場合ではベータ線を用いると精度良く測定することができます。 このように、放射線の物質を透過する能力を利用することによって、密度がわかっていれば厚さを測定でき、逆に一定の厚さのものであれば密度を測定することができます。 日本の薄い鋼板などの品質の高さはこのような技術に支えられています。 また、物質による放射線の透過性の違いを利用して、空港での手荷物検査や金属の溶接部分の検査に広く使われています。しくみはひとのX線(レントゲン)写真を病院で撮るのと同じです。写真提供:新日本製鐵(株)写真提供:日本原子力文化振興財団溶けた鉄を板にする、薄い紙を作るそんな時の困難な測定も放射線なら簡単にできてしまいます。鉄の場合紙の場合厚さ測定の原理
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