生活に役立つ放射線
12/16

冷却塔煙 突アンモニア放射線で微量物質を測定したり、汚染物質を無害化したりできます。 火力発電所などのボイラーで、石油や石炭を燃焼する時に発生する排煙には、窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)といった有害物質が含まれています。この排煙にアンモニアを加えた後、放射線(電子線)を照射すると有害物質が除去できます。さらに硝酸アンモニウム(硝安)、硫酸アンモニウム(硫安)などの有用な肥料に変えるこ電子線による排煙処理法の流れ 私たちの健康な生活を守るには、環境中の有害物質濃度や量を調べて、有害物質を減らしたり、隔離したり、無害化することが大切です。 研究用原子炉を使って試料を放射化して放射線測定器で分析すると、試料の元素にもよりますが1gの100万分の1から10億分の1の量を測定することができます。 また、電子の加速器から得られる放射光は非常に強力なため、極微量の環 大気中には放射性の炭素14が、微量ですが一定量存在しています。この炭素14の数が5,730年で半分に減少する性質を利用し、古代の遺物がいつ頃生存あるいは作られたかを調べる年代測定にとができます。 この技術は日本で開発され、ポーランドや中国の発電所でも使われています。 また放射線(電子線)照射による下水の殺菌処理・水質改善・汚泥の沈降性の向上などの研究が進められています。 下水処理に使われた活性汚泥の処分技術としても放射線照射が有効であり、実用化研究が進められています。境中の有害物質などを調べることができます。和歌山毒物カレー事件では、ヒ素に含まれる微量の不純物の測定に使われました。使われています。この方法で愛知万博に展示されたユカギルマンモスが18,420年前と決定されています。また、他の放射性同位元素を用いて、岩石が何億年前にできたのかが測定されています。燃焼ボイラー集じん器排風機フライアッシュ電子加速器電子加速器大型放射光施設(SPring-8)の全体写真右上のリングが電子の加速器。反応室集じん器排風機硫安・硝安肥 料写真提供:SPring-8放射線は汚染物質を無害化処理したり高感度で精度良く有害物質を測定する機器に利用したりできます。放射線による排煙処理と汚泥処理放射線による微量物質の測定放射性同位元素による年代測定 

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る